2012/04/18
エリック・アーランドソンの新著『レターズ・トゥ・カート』によって元ホールのギタリストが再注目されたのみならず、この本は彼の公の音楽制作再開のきっかけになりそうだ。
「本のサウンドトラックを作る気になっているんだ」とアーランドソンは言う。すでにそのプロジェクトには手をつけており、もうじき完成の予定だそうだ。「手紙のようにいろんなムードの混ざり合ったものになるよ――ときにはアコースティック・ギターをつま弾く音だったり、すごくロックっぽかったり、ノイジーだったり、実験的だったり、ジャズっぽかったり。こういうスタイルはホールでは全然プレイしていなかった。過去2、3年プレイしていていろんなことを学んだから、すごくオープンになって、もっと即興的になったね。サントラのデモはすべてライブのワンテイクで録音した。作曲しながらレコーディングしたんだ。ナマで未完成だけど感情がこもってる。そういうのをやるのはすごく開放感があるね」
アーランドソンはいまだに音楽が「自分をつなぎ止めているもの」だというが、ソロ・アーティストになることは長年ホールでコートニー・ラヴの補佐を務めたあとの反動のようなものだという。「本のおかげでついに自分の声を見つけたんだ。他の人のビジョンをサポートするのに慣れすぎていたから。あらゆるレベルで彼らを世話することにね。10年のバンドのキャリアの間ずっとズバズバものを言う人のそばにいたけど、今は『OK,もう十分だ。自分の声で何かを言うぞ』って感じになった。本で言い、今度はそれを音楽でも言うつもりさ。アーティストとしての自分を育て、それがどこに行くのか見てみたいんだ」
『レターズ・トゥ・カート』は10年かけて完成させたプロジェクトだという。コバーンとの関係を、音楽や名声、人間関係、モラル、自殺について考える一連の詩的エッセイのインスピレーションとして使っている。「長い間それをしたくなくて、ジョン・レノンとかの他のミューズを試そうとしていた。だけどうまくいかなかったんだ。あるとき考え直して過去に向かい合い、それを理解しようとした。だから前進してもっといい人間になれるのさ。彼に書いてるわけじゃなく、自分自身に書いているし、自分の中の彼の部分に書いているんだ。どう見てもらってもいいけど、きっと彼もこの本の言葉遊びやブラック・ユーモアを楽しんでくれると思う。今彼がここにいたら、僕の気持ちを理解してくれるはずだ」:
最近コバーンのソロ・アルバムのデモの存在を明らかにしたアーランドソンだが、何社かの出版社に『レターズ・トゥ・カート』の出版を断られたときは落ち込んだという。彼らは暴露本を望んでいたのだ。コバーンの遺族はこの本に対し「とてもクールだ」と言っている。
コバーンの未亡人であるラヴは暗黙の承認をしてくれた。昔のバンド・メイトのメリサ・アウフ・デール・マールとパティ・シェメルはロサンジェルスで行なわれた出版パーティに参加してくれた。アーランドソン、ラヴ、アウフ・デール・マール、シェメルは4月13日、シェメルのドキュメンタリー『ヒット・ソー・ハード』のブルックリンでの試写会のあとで一緒にステージに立った。しかし、ホールの再結成はないという。
「今や僕たちのテイストは全然違うからね。それでいいんだ。いまだにコートニーは驚異的シンガーで、驚異的人間、驚異的作詞家でこれからたくさん活躍できると思ってるよ」
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